「うちの子、算数のセンスがなくて……」
「難関中の過去問になると、手も足も出なくなります」
家庭教師の指導をしていると、保護者の方からこうしたお悩みを本当によく伺います。
特に、1つの問題に対して何通りものパターンを考えさせる「場合の数」や「整数問題」に出会うと、フリーズしてしまうお子さんは多いですよね。
毎日高校生に数学を教え、夜は中学受験算数を指導している私から見ると、難関中が求めているのは「天才的なひらめき」ではなく、実は「泥臭く調べ上げる力」なんです。
今回は、最新のAIのニュースも交えながら、これからの算数・数学で最も差がつく「手を動かす力」の育て方についてお話しします。
2026年の最新AIもやっている「地道な作業」
少し毛色の違う話をします。
2026年5月、人工知能(AI)が、数学界で約80年間も未解決だった難問を自律的に解き明かしたというニュースが世界を駆け巡りました。
「ついにAIが人間以上のひらめきを持ったのか!」と思いますよね。でも、中身を開けてみると驚きです。
AIがやったのは、綺麗な数式をひらめいたことではなく、「膨大なパターンを地道に絞り込み、例外(反証)を泥臭く見つけ出す」という作業でした。
これ、実は難関中(開成や麻布、灘など)の算数で、合格をもぎ取る受験生がやっていることと全く同じなんです。
難関中が「綺麗な問題」を出さない理由
トップ校の入試問題には、公式に数字を当てはめるだけで解ける問題はほとんど出ません。一見すると「どう解けばいいの?」と迷うような、一捻りある問題ばかりです。
なぜそんな問題を出すのか。それは学校側が、
「公式を覚えてきただけのロボット」ではなく、「未知の問題に対して、手を動かして実験できる子」
を欲しがっているからです。
算数が得意な子は、問題を見た瞬間に答えがひらめいているわけではありません。
「とりあえず、1のとき、2のとき、3のとき……って書き出してみよう」
と、泥臭く実験を始めています。
そして、4つ目か5つ目を書き出したあたりで、「あ、これ3の倍数ごとに同じパターンが繰り返されてるじゃん!」と規則性(ルール)に気づくのです。この「実験してルールを見つける力」こそが、受験算数の最強の武器になります。
「センスの壁」を突破する、家庭での声かけ
お子さんが問題の前でフリーズしているとき、「うーん」と唸っているだけでは時間は過ぎていくばかりです。そんな時は、ぜひ以下のステップで声をかけてみてください。
① 「まずは1のときから書いてみよう」
問題の数字が大きいときは、「もしこれが『1』だったらどうなる?」と、問題を小さくして実験させます。
② 「表や樹形図にしてみたら?」
頭の中だけで処理させず、ノートにビジュアル化させます。手を動かすことで、脳のスイッチが入ります。
③ 「何かきまり(ルール)は隠れてない?」
いくつか書き出したら、数字の並びをじっと見比べさせます。「2ずつ増えてる」「奇数しか出てこない」など、小さな気づきを大袈裟に褒めてあげてください。
まとめ:算数の「泥臭さ」は、高校数学の「宝」になる
私は昼間、高校生に数学を教えていますが、算数の時代に「手を動かして調べる」癖がついている子は、高校数学の「数列」や「確率(場合の数)」、さらには「微分・積分」に入っても崩れません。
自分で実験して、ルールを見つけた時の「あ、わかった!」という感覚。これこそが、算数・数学の最大の楽しさであり、AIには真似できない人間の強みです。
綺麗に解こうとしなくて大丈夫。
ノートを真っ黑にしながら、泥臭く正解にたどり着く楽しさを、ぜひ一緒に育てていきましょう!

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